トヨタ自動車は23日、豊田章男社長の2022年3月期の報酬が前の期比55%増の6億8500万円だったと発表した。同日に提出した有価証券報告書に記載した。好調な業績や時価総額の増加に加え、個人別の査定を導入したことで金額を押し上げた。
有価証券報告書の記載ベースでは、豊田氏としては20年3月期(4億4900万円)を2年ぶりに上回り過去最高となった。トヨタの歴代社長としても最高額となる。内訳は固定報酬が2億400万円で、株式として受け取れる報酬が4億8100万円。これとは別に、豊田氏は保有しているトヨタ株から単純計算で約12億円の年間配当を受け取れる。
トヨタは役員報酬を、社外取締役らで構成する「報酬案策定会議」で決める。連結営業利益や時価総額などを反映する。
前期の営業利益は前の期比36%増の2兆9956億円と6年ぶりに最高を更新した。期末の時価総額は36兆円と1年で27%増えた。こうした点に加え、前期から会長、副会長、社長にも総報酬のベースから50%を増減できる「個人別査定」を導入したことで金額の大幅増につながった。
他の取締役では、デジタル戦略の責任者を務めるジェームス・カフナー取締役が3.2倍の9億600万円となった。外国籍出身者の報酬は出身国(カフナー氏は米国)の水準も踏まえる。トヨタ総務・人事本部の東崇徳本部長はカフナー氏の報酬について、子会社のウーブン・プラネット・ホールディングスの最高経営責任者(CEO)など「職責が広がった点も大きい」と説明した。
ほかにトヨタで前期に報酬が1億円を超えた役員は、内山田竹志会長、早川茂副会長、小林耕士番頭の計5人だった。
3月末時点の上場企業の政策保有株を53と、1年で1銘柄減らしたことも記した。富士フイルムホールディングスや大和証券グループ本社の株を全て売却し、配車サービスの米ウーバーテクノロジーズやJR東海の持ち株割合を減らすなどした。
一方、いすゞ自動車に5%再出資し、ルネサスエレクトロニクスは株の保有比率を1ポイント引き上げ4%とした。外国株では21年12月に上場したシンガポールの配車大手、グラブ・ホールディングスなどを新たに記載した。
3月末時点で100億円以上の債務超過があるグループ企業の記載数は8社と、前の期の3社から3倍弱になった。米国の子会社のほか、次世代ソフトウエアの開発を手掛けるウーブン・アルファ(東京・中央、193億円の債務超過)も新たに記した。